06号 日々繰り返すことで身につく
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大切なことは日々繰り返すことで身についていきます。
06号は、『耳と聲』の総集編。
01号〜06号の内容を振り返りながら、日々繰り返すコツを学びます。

目次

はじめに
日々繰り返すことで身につく(日原 美智子)

今号では『耳と聲』全体のまとめを/アイデンティティを外に置く/すべては聴くことから始まる/自分の中の静けさと出会う/自分の身体をやさしく使う/共振から共感が生まれる/日々繰り返すことで身につく/自然体で生きるメソッド

すべては巡っている(森田 理恵・丸山 修一)

二十周年目に『耳と聲』が発行された/独立してトマティスセンターをオープン/次に伝え継いでいく者として/耳と聲の講座を開催

『耳と聲』最終号に寄せて(樽家 泰子・松本 悦子)

CAVで自然体になっていく姿に感銘/博士の言葉がつながり、身体の中に満ちてきた/朗読劇の会やハミングの会を実施

大好きな歌のために(村上 亜紀子)

トマティスメソッドにより声楽を教えられるように/アイデンティティを外に置く感覚をつかみたい

あたりまえのこと(木村 満壽美)

ローマでトマティスメソッドに出会う/何かいつも釈然としないものが/等身大の自分と巡り会う

『耳と聲』ができるまで(宗形 憲樹)
編集後記

はじめに

今号は、いよいよ最終号です。
あらためてトマティスメソッドとは|「人間の声には聴き取れない音は含まれない」という理論に基づき、耳を整えることによって発声にも変化をもたらす耳と声のトレーニングです。しかし、長年メソッドに関わるうちに、これはただ単に、耳と声の調整ということだけでなく、自分自身の見直しの作業である、ということが見えてきました。
「耳と声」、言いかえればこれは、「受信と発信」であり、「やりとり」であり、ひとつのループ、循環です。思えば私たちの身体のミクロの世界でもこれが行われています。神経が情報を受け取り、次の神経へ伝達していく。身体の各連携は本当にすばらしく、身体中で、このやりとりが行われ、そして巡っています。動脈と静脈、摂取と排泄、目覚めと睡眠、呼気と吸気、すべてが循環です。外の世界では、一日が巡り、季節が巡り、もっとマクロの世界に目を転じると、宇宙(天体)の運行もそうです。
「自律神経のおかげで私たちは宇宙と共感している」(『モーツアルトを科学する』p.177)、これも博士の言葉です。ミクロ宇宙もマクロ宇宙も同じであり、すべては巡り、循環している、ということを「耳」と「声」という身近なループで、教えてくれているのではないかとさえ思えます。
博士はこのようにも述べています。「この世界のすべては聴いている―人間を除いて。これは、冗談でもパラドックスでもない。この問題に関する長い専門生活によって積み重ねられた観察なのである」と。はっとさせられる言葉です。人間は文明を発達させるに従って、いつしか発信することに比重を置き、静かに受け入れることを忘れてしまったのかもしれません。循環を成立させるには、受信=「聴くこと」をもう一度思い起こす必要があると言っているかのようです。小さなループが巡れば、大きな世界にも波及する。これこそが共振なのでしょう。だから身近なところを大切にしていく……。博士がゆるぎなく伝えていた「自分を聴くことの大切さ」の理由は、ここにもあるのかもしれません。
これまでの号で折に触れて述べられていた発声で大切なこと、①深い呼吸、②リラックス、③聴き取りの姿勢、この三点もそれぞれが始点であり、終わりなき循環です。この中のどれかひとつにおいて、何かが違っていると巡りません。スムーズに循環していないとき、最初にやることは、今まで知らずに身につけてしまった余計なものを取り除くことです。そのためには、何が起こっているか、まず自分を静かに、丁寧に観察していくことです。これが「自分を聴く」という行為そのものなのだと思います。
取り除かれた後は、やるべきことを繰り返し行うことです。繰り返す、これも循環です。この循環は、同じところに戻るのではなく、繰り返し繰り返し行うことで、あたかも上昇らせんと下降らせんが同時に描かれていくように、純化し、かつ深度を増していきます。流れがあるということは、常に新しいということです。「自分を聴くこと」は、常に新しい自分であることのスタートです。
最終号となる06号では、メソッドの全体像を捉えていただけるよう01〜05号で語られてきたことを総括し、その詳細を各号で振り返っていただくような構成にしています。最終号がスタートにもなる「巡り」をここでも体現したい、と考えたからです。繰り返しお読みいただく度に、新しい発見があるような冊子となれば嬉しいです。
博士の言葉をもって、本文へと繋ぎます。
「最後は円になる」 ―by Alfred Tomatis

日原先生インタビューから

ハミングを日々繰り返していくうちに、自分にとって心地よい、これだったらどんな時でもすぐにできるという高さ(周波数)のハミングを自然に見つけることができます。これを「ベストトーン」と呼んでいるのですが、そのハミングをすることによって、自分のその日の調子がわかるようになります。
心地よいハミングができている時は、良い姿勢にもなっています。毎日毎日ハミングを繰り返していると、耳がよい状態を記憶します。心地よいハミングができている時は、歩く姿勢も良くなっています。心地よければ、どんな動作をしても負荷がかかっていないということなのです。

ーハミングをすることによって、その時の自分の姿勢がどうかを確かめることができるのですね。

そうですね。ほんの何分間か、毎日規則正しく同じ条件でハミングを続けていくことで、自分の身体の状態がわかり、仕事をしている時でも、自然によい姿勢をとることができるようになります。

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